宮台真司「世紀末の作法」感想

彼のことは当然知っていたし、どんな本を書いてきたかも把握していたが、彼の単書を読んだのはこれがはじめてだった。95年前後に様々な媒体で書いた、短めの文章を一冊にまとめてある。核となるのは、援交、テレクラ、ブルセラ、女子高生、人妻、ナンパなどの彼の活動初期からの関心ごととなるが、面白いのは、彼の幼少期の出来事や、記憶が書かれていることだった。屋上が大好きだったことや、転校が多く、はじめはクラスに溶け込めなかったが、繰り返すうちに、溶け込み方を習得していったこと。などなど、、この本は短い文章の集合なので、理論的な組み立てをし、滔々と語る。というような本ではない。あくまで1つトピックは3000文字くらいで終わる。だが、通読してみれば分かるが、彼の初期の主張が度々繰り返させるので、自動的に本当に言いたいことが分かってくるし、彼の根底にあるものが垣間見れる。そのなかでも印象に残っているは、「終わりなき日常」や「混濁した世界を、混濁した自分を抱えて生きる」などだ。現在では状況は変わっている部分はあるが、日常は終わっていないし、世界は混濁している。ぼくは彼の言葉に習って、そんな世界を生きていくために工夫したいと思う。