日記049

誰かが、建築は皆の和解の場にするべきだと言っていた気がする。はじめて、それが実として少しだけ体験できた気がする。本当に少しだけ、、というよりも和解の第一歩目かもしれないが、、

揉めことを解消したわけではない。そもそも揉めている訳ではないが、建築工事を取り巻く諸事情の中で、各関係者がバラバラの方向を見てしまうことはよく起こることである。事業主、設計側、施工側、みな立場が異なるので何の悪意もなく、むしろ善意であろうとも、小さな衝突は連続する。それらを設計によって、あるいは立ち上がった現実によって、皆が和解するのであれば、それほど素晴らしいことは無い。建築は衝突と和解の連続である。その先にしか美しき地平線は見えないかもしれない。

そう考えた時に、和解の第一歩を踏み出したように思えるこのプロジェクトの先に本当に地平線は見えるだろうか?今の自分には到底そうは思えないのである。その代わりに断崖絶壁が目に前にあるような気がしてならないし、自分の力でハンドルを切ってそれを回避する自信と動機づけがない。どうなることか