日記010

何食わぬ顔で電車に乗り、時限爆弾を抱えて信号を待つ。仮面をかぶってタイムカード切って何もない1日を過ごす。家に帰って仮面を外して鏡にうつるのは、目の奥の奥が真っ暗で空っぽな自分。辛い時に辛いよって言って、悔しい時に悔しい!と叫べる私はもういない。なにがあっても不感症になってしまった、セックスをしてもキスをしても感覚が戻らない。少しだけ戻る気がするからやめられないけど、すればするほど臆病になり、スカした大人になる。全ての事が想定内になった後にはなにも続かない。わたしという歴史の終焉。マックスウェバーのそれよりも遥かに深刻な終焉。終焉した私はもう一度はじめようと試みるが永劫回帰思想に打ち砕かれる。またはじめるという事はまた終わるのだと。一度きりで新鮮な生は遥か遠くにある。中途半端に読書したやつはだいたいこのように間違った思考の中で回遊しながら死ぬ事になる。私のように。みんな辛いのによく頑張っている。生きているやつはみんな偉い。死んだやつもえらい。生活に回帰するしかない、身体を動かして、身体の思考についていくしかない。わたしにはこの肉体があった。ホモサピエンス歴史の先頭に立つこの肉体からはじめてみよう。それしかないだろう。自身の力でモノの価値を変える。小さな革命の連続。歌を唄え。